キラキラの秘密

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プップー

港に船がやってきた。
小さな定期船。

そよぐ風は規則的な円を緑色の海に描き出し、それがしじまの波となる豊潤な海。

私はここで育った。
島には高校がないから、船に乗って本土に行って、また電車に乗って。
それも今日で終わり。
いつもの風景がいつもの風景では無くなる。
それは同級生の龍弥も一緒。
今日は2人甲板にいる。

龍弥がボソっと「秘密がある」
と言った。
「あれ見て」
太陽に向かって走る船の水面の光を指差す。
「取れるんだよ」
龍弥が光に手を伸ばし、そおぅと握る。
そして私に掌を見せた。
光はキラキラと宝石のように龍弥の手の中で輝く。
「やってみ。惟子も」
私も光に手を伸ばし、キラキラを取る。
でも、これがいつもは出来ない事だって、龍弥に教えて貰わなくてもわかった。
これは特別。
自分が夢に向かって希望に満ち溢れた時、水面の光と共鳴してできる奇跡。
だから目映いのだ。
青春
公開:19/11/07 03:12
更新:19/11/07 09:07
節目 日生諸島 岡山

さささ ゆゆ( 神奈川 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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