渋谷ダイブ
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スクランブル交差点、見慣れた建物、ビルのネオン、ハチ公前の賑わい。入ったことのある建物、店、渋谷の空をダイブしていると思い出が次々に蘇る。一緒に歩いた人、並んだ流行りの店、ぐるぐると探し歩いた誕生日プレゼント。
「他に何を思い出す?」
「デートとか」
「したね。どこの店だっけ」
優しい耳障りのいい声につられるように指示を出す。
「道玄坂を登って右に曲がって、ああそう、その通りを入って……」
俯瞰で広がる景色は自由自在に思いのままどこへでもいける。ドローンから送られてきた画像をVRで眺めていると記憶の映像が重なっていく。
「過ぎてしまえば全部いい思い出だ」
胸を締め付けるようなこの思いは何? ドローンナビゲーターは答えない。マニュアルにその答えはまだないのだろう。
言葉にならない思いを乗せてドローンは飛ぶ。街を見ていたのか心を見ていたのかわからないまま終了まで残り1分となった。
「他に何を思い出す?」
「デートとか」
「したね。どこの店だっけ」
優しい耳障りのいい声につられるように指示を出す。
「道玄坂を登って右に曲がって、ああそう、その通りを入って……」
俯瞰で広がる景色は自由自在に思いのままどこへでもいける。ドローンから送られてきた画像をVRで眺めていると記憶の映像が重なっていく。
「過ぎてしまえば全部いい思い出だ」
胸を締め付けるようなこの思いは何? ドローンナビゲーターは答えない。マニュアルにその答えはまだないのだろう。
言葉にならない思いを乗せてドローンは飛ぶ。街を見ていたのか心を見ていたのかわからないまま終了まで残り1分となった。
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公開:19/11/06 11:46
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