マイホーム

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結婚10年目に購入したマイホーム。思えば初めからおかしかった。
新築なのに、人間の顔みたいな染みが寝室の壁にできていたり、廊下からヒタヒタという足音が聞こえたり、地震でもないのにカタカタと家が揺れたり、目の前にある自分のコップが突然倒れたり、金縛りは入居1日目から毎晩欠かさずだった。

「この家は呪われている」
そう訴えても夫は「俺は住みやすくていい家だと思う」と取り合ってくれなかった。
恐怖で正常な判断を失った私は、夫と娘を置いて家から逃げ出した。
その後、離婚が成立した。

「うん、大丈夫。パパとはうまくやってるよ」
高校生になった娘とは電話で頻繁にやり取りをしている。
「ねえ、ママ知ってた?最近わかったんだけどね、この家、メスなんだって。パパに恋してるの。私もそろそろ追い出されるかもね」
私は今は1DKのオスの賃貸に住んでいる。この家はとても穏やかだ。
家との相性って本当に大切ね。
その他
公開:19/11/06 10:04
更新:19/11/13 13:25

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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