あの時の音色

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卒業旅行2日目。朝早くから俺達は焦っていた。
食いしん坊の山本が目を覚まさない。よほど眠りが深いのか、何をやっても起きる様子がない。
チェックアウトの時間は刻一刻と迫っている。それにこの後バスにも乗らなきゃいけないんだ。
山本は体重百キロを超える巨漢。こいつを担いで外に出るのは難しい。
どうすればいいんだ!
「俺に任せろ!」
そう言って部屋に戻ってきた岡崎。岡崎は山本が起きないと見るやすぐに外に飛び出した。
戻ってきた岡崎はスマホを取り出すと先程撮って来たと思われる音楽を流し始めた。
ぴろり、ぴろり~。
そ…その音は…聞き間違えるはずがない。マクドナルドのポテトが揚がる音だ!
あの時の音色が部屋に響く。
山本がパチリと目を覚ました。
「ポテトどこ?」
そんなものはないと怒鳴りつけ、起きたばかりの山本を連れてチェックアウトした。
まさか、あの音色が山本を起こす鍵になるとは思いもよらなかった。
公開:19/11/06 18:32

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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