待ち人来る

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久しぶりに渋谷の街へ出て、待ち合わせをしました。
駅から徒歩数分、ガラス張りのビルにある喫茶店。2階の窓際へ腰掛け、真下の交差点を打つ雨の気配を追いながら、カップの中でスプーンを掻き回し、私は幸せでした。逢いたい人に逢える事の、何と満ち足りる心地でしょう。

背の高いコートの影が、入り口から私を探し、軽く手を上げます。
私も手を上げ、辛抱出来ずに席を立ちました。
「駅以外の待ち合わせも、新鮮で良いものだ」
「毎度見送ってばかりなので、たまに目先を変えようかと」
「しかし、すごい変装だね。場所を間違えたかと思ったよ」
そう言いながら、昔と同じに頭を撫でてくれる彼に、子供に戻って甘えてしまいます。大の男がと笑われても、私の最愛の人ですから。
「いつもの姿だと、騒ぎになるでしょう?滅多にないお休みを、水入らずで過ごしたくて」
銅の尻尾の代わり、今日は言葉で挨拶を。
「おかえりなさい、英三郎さん」
その他
公開:19/11/04 21:17
渋谷駅 ハチ公像と上野英三郎氏

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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