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寒さが骨身に染みる会社からの帰り道、小さな屋台を見つけた。
これはいい。ラーメンか?おでんか?とりあえず一杯ひっかけていこう。
俺は屋台の外に置かれた椅子に腰かけると「親父!とりあえず一杯!」と常連になった気持ちで声をかけた。
店の親父が屋台から出てくる。背は低いが筋骨隆々の体。もしかして、怖い人!?
親父は荒々しく目の前のテーブルにどんっ!と椀を置いた。
やっぱりそうだ!早くこれ食って帰ろう!
ヤバい店だったら助けも呼ばなきゃ…
椀の中を見た。何だこれ?魚の骨ばかりで肝心の身がないじゃないか?
やっぱり良くない店だったか…ん?でもこれ、美味いぞ。
「やっぱりおやっさんのあら汁は最高だね!秘訣でもあんの?」
そう聞くは本当の常連だろう。そうか、ここはあら汁の屋台か。
店の親父は荒っぽくあら汁の作り方を説明し始めた。
…粗が多くて殆ど意味が伝わってこない。
だが、あら汁だけに骨身には沁みた。
公開:19/11/04 18:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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