ああ、もうダメ！

　課長のデスクの前で怒られた。
「お前の目は節目か！いつもいつもミスしやがって。いい加減にしろよ！」
　ああ、違う。それ節穴ですけど。節目って。ああダメだ、想像してしまいそうだ。
「お前の不注意で会社がどれだけ損害出したかわかってるのか？」
　課長の怒鳴り声がオフィスに響きわたる。でも、ああ、考えちゃダメだ。ダメだって。
　ああ、遂に課長が竹を輪切りにして節目で作った眼鏡を掛けてるところ想像してしまった。おまけに時代劇の小僧みたいに耳のところは輪ゴムになってるヤツ。見えないって何も。ダメだ笑ってしまいそうだ。後ろを振り返ったら社員全員がそれ掛けてたりして。ああ、ダメだ……限界だ。
「あっ、お前今笑ったな！俺がまじめに喋ってるのに。信じられない」
「いっ、いえ、節目が……」
「なんだと、節目がどうした？そうか会社辞める節目ってか？わかった上に言っといてやる。辞表書いとけ。後で受けとるから」