風団子

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風鬼の来呼の風団子には不思議な力がある。食べると空が飛べるのだ。
来呼は子供と遊ぶのが大好きだった。子供達も来呼の事が大好きだった。歓声を上げながら空を飛びまわり、毎日日が暮れるまで遊んだ。
ある夕暮れ。山の奥の住処に帰ってきたら、ひとりの少女が入口の前に倒れていた。
「お前、どうした」
近寄ってみるが、知った顔ではない。
「どこのもんだ」
「隣の村から、来たの……」
来呼は驚いた。ここからは相当な距離がある。
「お母さん死んじゃって、村を追い出されたの」
「そいつはひでえ話だ」
来呼は少女の呼吸を聞いたが、もうこの子は助からないと思った。
「お腹、空いたなぁ……」
少女を哀れに思い、何かでお腹を満たしてあげたかった来呼は風団子を与えた。
「ああ、空を、飛んでる……」
少女が息を引き取ると、来呼は「ごめんなぁ」と泣いた。
来呼は少女の亡骸を住処の庭に埋めた。いつの間にか空に、月が出ていた。
ファンタジー
公開:19/11/04 11:09
更新:19/11/04 11:18

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きなアラフォー主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト入賞『私の母は晴れ女』

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