ホエールウォッチング

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両親から半ば拉致される形で僕はホエールウォッチングに参加させられた。
こんな物見て何が楽しいのか分からない。燥ぐ両親を尻目に僕はベンチに座ってスマホをいじる。
周りを見れば僕と同じような奴らが沢山いた。これはきっと僕のようなひきこもりを外に出させるためのイベントなのだろう。こんなもので僕が外に興味を持つと思うな。ひきこもり舐めんな。
そんな僕の考えも知らずに両親は僕の手を引く。そして間近までやって来たクジラを僕に見せた。はいはい。凄い凄い。
その答えに両親は微笑むと、あろうことか僕をクジラの口の中へと放り込んだ。何のつもりだ!

「そのクジラはマットウクジラって言って、ピノキオに出て来たクジラの一種なのー。貴方がそこから出られた時、きっとまっとうな人間になっているわー。私達待っているからねー」

クジラの胃の中生活も15年目。
テレビもネット環境もない空間だが僕はここでもひきこもっている。
公開:19/11/05 18:53

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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