あの時の音色

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男は今日も派手な服を着て笛を吹く。笛の音に誘われて家の中から現れた鼠は笛の音に誘われるがまま川に飛び込み溺死した。
仕事を終え、男は依頼人に報酬を求めた。
しかし依頼人ときたら男の胡散臭さに金を払うことを渋り始めた。
依頼人は男に金を払わずを追い出した。
男は溜息を吐く。いつもの事だ。男は笛を吹いた。これでよし。後は彼らがどうにかしてくれることだろう。男は次の仕事を求めて歩き始めた。

その夜、ある家で惨劇が起きた。その家に住む家族が忽然と消えた。金と食料も全て消えていた。
警察が必死に捜査するも手掛かりとなるようなものは何一つ残されていない。
せいぜい、猫のものと思われる毛が散乱しているぐらいだ。

後日、男は改めて報酬を貰った。山猫軒の従業員である猫が金の入った袋を寄こしてきた。
あの時の音色は笛吹き男が山猫軒に送ったサインである。
男はこれであの町も少しは綺麗になるといいな、と笑う。
ファンタジー
公開:19/11/05 18:32

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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