勝負下着

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今夜のために私は生まれた。毎回恋は真剣なのよ。
彼がゆっくりと身体に触れる。
「手触りがいいね」
ドキドキする。彼に触れられるのは初めてだから。
あたたかなベッドサイドの照明。彼の目に映った私を想像する。少しはセクシーに見えるかしら。
慣れた手つきで背中のホックを外される。
「いい形をしている」
露わになった胸に彼がキスをする。
引き離さないで、身体と心を。
「綺麗な色だね」
嬉しいわ、ありがとう。
吐息が漏れる。
この身体、気に入ってもらえてよかった。
「とても素敵だ」
とっておきだから。彼の心を奪うためのランジェリー。
すぐに脱がされて、私はもうお役御免だけれどご主人様は夜を楽しんでよね。
ご主人様が今夜のために選んだ、私はそう、勝負下着。
彼氏ができたの久しぶりだから、すっかりタンス臭くなっちゃったわ。
今度の彼はイケメンね。頑張って!
朝が来るまで、ベッドの下で大人しく待ってます。
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公開:19/11/05 14:16

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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