モテる男とモテる女

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「彩ちゃん、可愛いなあ」
明るくていつもクラスの中心にいる彩。俺は彼女に恋をしている。
「熱いねえ」
委員長の堀部健が俺に言葉を返す。
「堀部は好きな子はいないのかよ」
「まあ、想像に任せるよ」
堀部はイケメンで王子キャラで、女子に凄くモテる。
「どうしてお前そんなにモテるんだよ」
「これ飲んでるからね」
そう言って堀部はポケットから、ケースに入った錠剤を見せる。
「フェロモンみたいなものさ」
体育の時間、俺は授業を抜け出して堀部の学ランのポケットから錠剤を盗んだ。全部飲んだ。モテれば、彩と両想いになれるかもしれない。
「何してるの?」
ギョッとして振り返ると彩が立っていた。
「最低。それ健君のだよね。君がモテるようになっても、私は絶対君なんか好きにならないから」
彩は俺を射るように見ると、ポケットから同じ錠剤を取り出して俺に見せた。
「やっと健君と両想いになれたの。邪魔しないで」
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公開:19/11/02 22:00
更新:19/11/03 09:41

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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