やっぱりあなたを待っていた

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ガン告知を受けた時はやはりショックだった。
幸い主治医は信頼できたし、進行も早くなかったので、旅行に行ったりもしたけれど、退院して帰宅した後は、主人まで外出しなくなって、辛かった。それを察した主人は言った。
ショートショートを毎日一本書いていくから、読んでくれ、と。
毎日のことだから、作品は面白い日もあれば、ちょっとなと思う日もあった。感想は率直に伝えた。くすりと笑える日は病気のことも忘れて気が晴れた。
止めていいよと言ったこともある。それでも、主人は筆を止めなかった。私の意識がなくなった最期の一週間も毎日新作を読んでくれた。主人の愛に包まれて、旅立てて、幸せだった。
映画化された時は正直ずるいと思った。主人が私に紡いでくれた私的なお話をあっさり公開しちゃうなんて。

とうとうあなたと再会する日がやってきた。こちらの世界を見たら、新たに創作したくなるかも。
当分はつもる話がしたいんだけど。
その他
公開:19/11/04 07:00
更新:19/11/04 09:51
眉村卓氏追悼 ありがとうございました

こぶみかん( 関西 )

ssの庭に迷い込んだこぶみかん。数々のお話の面白さに魅せられ、通い始めた。
気が付いたら、庭の片隅に挿し穂されていた。
いつか実を結ぶまでじっくり育つといいね。

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