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「ほら、お前達もっと食べろ」

網の上は肉の運動会と化していた。お義父さんは焼けた肉を、絶えず私と妻の皿に乗せていく。

「父さん!焼きすぎだよ」
「いいんだよ。こういうのは、ガーっと焼いて、バーっと食うもんだ」
「出た、父さんの擬音ばっかの表現」
「いいじゃないの。お父さんも今日は機嫌が良いのよね」
この家族を見ていると、自分のココロまで暖かくなる。とても幸せだと、想いに耽っていた。気がつくと、お義父さんと目が合った。

「君は相変わらず堅いなぁ、足を崩しなさい」
お義父さんの手前ザブトンに正座していたが、段々とシビレてきていたところだった。
「ありがとうございます」
「もっと気楽にしてくれればいいんだぞ」
「そうよ。わざわざタン生日に来てくれるなんて、良い息子よね」

いやいやと私は謙遜したが、視界は少しずつ滲んでいた。

「煙すごいから火弱めるよ」

妻がレバーを動かし、火を弱めた。
その他
公開:19/11/03 21:00

湯浅ムネミツ( 茨城県 )

スポンジになりたい社会人です。

なんでも吸収し、自分のものにしていきます。

衝撃を与えられても、壊れず、強く生きていき
ます。

皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

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