赤錆た歯車①

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転職覚悟で、とにかく知り合いのいない場所に逃げた。


飛行機を乗り継ぎ、1日数本の定期船に乗ってたどり着いたのは、夕日がきれいなことで有名な島。
英語が通じるので宿はウィークリーマンションを安く借りれたし、どことなく中世のヨーロッパのような雰囲気を残す石畳の街並みが気に入った。


木々は赤々とした葉をつけ、時折風に流されて木から白い石畳に落ちて道を彩っている。
久々に夜の砂浜でも見たいなと思い立ち、比較的明るい浜辺に。

藍色と言うべきか、深い青を抱いた黒と言うべきか…とにかく、夜空に浮かぶ満月を見上げて缶ビールを煽る。
バーはあるか、小さな町なだけあって客が皆知り合いということも珍しくない。
そうなれば親戚が集まったような宴会になる。
それも楽しいけれど、いまは騒ぎたい気分ではなくて、静かな場所を探してこの浜辺を見つけて今に至る。
満月の光が気持ちがいい。
その他
公開:19/11/02 08:54

あやめ( 北の大地、本屋 )

思い付いたことを思い付いた時にぽそぽそと書きます。
起伏のない文章なのでさらーっと読み流していただければ幸いです。

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