ふしめ玉

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子供のころ秋祭りの屋台で偶然見つけた漆黒の玉。外見は蜻蛉玉にそっくりだが、似て非なるもので「ふしめ玉」と呼ぶ。
ふしめ玉は、古墳時代に強大な権力を誇った豪族の墓から出土した勾玉とされている。
ふしめ玉には不思議な力があって、あるまじないを唱えながら玉を凝視すると、漆黒の闇から眼球のような閃光が二つ現れ、見た者の転機を映し出すという。だから漢字で「節目玉」と書く。
ふしめ玉の力は、人生で一度しか借りることができないので、タイミングが大事と屋台の店主から釘を刺された。
果たして自分の転機を見ることは良いことだろうか。見ないほうが良いこともあるだろうし、見た途端その後の人生を大きく左右しかねない。
自問自答しているうちに年齢を重ね、ふしめ玉の力を借りることなく生きてきた。順風満帆ではなかったが、それなりに有意義な人生を送れたのは、ふしめ玉のお蔭かもしれない。今は、お守りとして大切に携帯している。
その他
公開:19/11/02 06:39
節目 秋祭り 屋台 漆黒 蜻蛉玉 古墳時代 豪族 勾玉 眼球

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育ち、大学時代は京都(御所の近く)、大学院時代は湘南(海ではなく山側)で過ごす。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年06月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。

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