あの時の音色

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天才作曲家として有名な俺には秘密がある。実は俺、作曲していない。
俺が世に出した曲は全て相棒が作ったものだ。相棒は人前に出ることをとにかく嫌がる。
しかし俺は相棒の書いた曲をどうしても世に送り出したい。そこで相談したところ俺が作曲したということにした。
俺はメディアに音楽とは何かを語る。実は俺も分かっていない。全ては相棒の受け売りだ。
俺は相棒の代わりに天才作曲家の名を欲しいがままにした。
ある日、俺が家に帰ると相棒が「音に色を付けてほしい」と言ってきた。ギャラの値上げ交渉だ。
俺はそれを受け入れた。俺は相棒がいなければやっていけない。相棒も俺がいなければやっていけない。色を付けるなんて簡単だ。断れば職を失う。
それに俺は相棒の曲を誰よりも先に聞きたい。だからこの立場は絶対に譲れない。
俺はあの時、相棒の奏でる音色を初めて聞いた時から相棒に惚れているんだ。
なぁ、そろそろ俺達結婚しないか?
公開:19/11/01 18:15

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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