渋谷と骸骨と桃太郎
6
10
凍てつくような冬空の下。出先から店に戻る途中、桃太郎は一匹の犬を駅前で見つけた。
「最近、毎日いるな」
その様子を不憫に思いつつ店に帰ると、一人の骸骨が待っていた。
「あ、お待たせしました」
「いえ、あの、この生地で服を仕立ててもらえませんか」
骸骨は雪輪と呼ばれる雪の結晶を柄にした生地を手に頼んだ。普通、冬に仕立てる柄ではないのだが……
「お願いします」
桃太郎は生地を受け取り、骸骨の寸法を測り始めた。型紙に写し生地を裁って骸骨に合う服を仕立てた。
「素晴らしい」
羽織ると柄の結晶が雪となり、まるでさっきまで外にいたかのように寒々しい。桃太郎は型紙を写したときに付着した消しゴムのカスに気づいた。
「あ、払います」
「いえ結構」
骸骨は肩に積もった雪を愛おしそうに、落ちないようにゆっくり歩いた。そして、余った生地を持ち去ると、こう呟いた。
「これで、あの子と同じだ」
「最近、毎日いるな」
その様子を不憫に思いつつ店に帰ると、一人の骸骨が待っていた。
「あ、お待たせしました」
「いえ、あの、この生地で服を仕立ててもらえませんか」
骸骨は雪輪と呼ばれる雪の結晶を柄にした生地を手に頼んだ。普通、冬に仕立てる柄ではないのだが……
「お願いします」
桃太郎は生地を受け取り、骸骨の寸法を測り始めた。型紙に写し生地を裁って骸骨に合う服を仕立てた。
「素晴らしい」
羽織ると柄の結晶が雪となり、まるでさっきまで外にいたかのように寒々しい。桃太郎は型紙を写したときに付着した消しゴムのカスに気づいた。
「あ、払います」
「いえ結構」
骸骨は肩に積もった雪を愛おしそうに、落ちないようにゆっくり歩いた。そして、余った生地を持ち去ると、こう呟いた。
「これで、あの子と同じだ」
その他
公開:19/11/02 21:22
更新:19/11/02 21:33
更新:19/11/02 21:33
渋谷
マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。
100 サクラ
ログインするとコメントを投稿できます