消すゴム

リビングのテーブルに変な物が置いてあった。ゴミを消す消しゴム、しかも映像の上から。

僕は部屋に戻り、渋谷のライブカメラをタブレットで開いた。スクランブル交差点には仮装でイキッてる男やナンパ目的のエロい女。価値のない人間。まとめてゴミだ。
映像の中からナンパしているピエロに照準を定めた。画面のピエロを消しゴムで擦ると綺麗に消えた。面白い。次に交差点に人が一気に押し寄せたタイミングで、全体を激しく擦った。次々と人々が消えていった。最高。センター街、PARCO前、109前、次々とカメラを切り替えては画面を擦った。

こいつもゴミだ。
こいつも。
こいつも、も、も！

疲れた。

寝転ぶといつも俺を監視している部屋の角のカメラが目に入った。撮るな。右手で顔を隠そうとしたが、僕の右腕が無い。
おかし



「大事な息子です。しかし世の中からみたらゴミみたいな存在でしょう。だから私の手で」