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目の前には二つに分かれた道がある。
どちらに進めばいいのか、私には分かっていた。
左の道には愛猫のハナがこちらを向いて座っている。
右の道には、金木犀が咲いている。昔から祖母が好きな金木犀。そして、祖母が微笑みながらこちらに手を振った。
私が今まで歩いてきた道には金木犀の花が落ちていて、辺り一面その香りに包まれている。
ジリジリ……
いつもの目覚まし時計の音。
遠くから母が焼く卵焼きの匂い。

私はまた、"今日"を迎えるのだ。そう決心した。

金木犀の香りを楽しむ祖母に、いつかまたと手を振った。
私はハナが待つ左の道を進む。
…………お腹の当たりがずしりと重い。私は布団の中で目を覚ました。ハナはお腹の上に乗っている。
いつも通りの朝。とはいえなかった。
握りしめていた手の中には金木犀の花。

祖母は私が生まれた年に亡くなった。
今日で私は20歳になるよ、おばあちゃん。
ファンタジー
公開:19/11/02 15:37

夜野 るこ

  夜野 るこ と申します。
(よるの)

皆さんの心に残るようなお話を書くことが目標です。よろしくお願いします。

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