秋の山里にて

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こうして縁側に座布団を敷いて座り、庭の柿の木を眺めてお茶を飲んで過ごしていると、いろいろと思い出すなあ。

ご先祖様の話じゃ、昔は山の中では、しょっちゅう危険な目にも遭ったというが、今じゃそんなこと信じられない。凶悪なあいつらがいなくなって、平和そのものだ。

夕焼け空にカラスが鳴いている。赤とんぼがフラフラと飛んでいるのを見上げながら、また茶をすする。五右衛門風呂を沸かす薪の燃える匂いがただよってくる。

さてさて、焚き火の中でそろそろ芋も焼けた頃だし、今夜は栗ご飯が待っている。ホントに好い季節だ。日本に生まれてよかった。

明日はヤマメかマスでも捕りに行くか。

月ノ輪熊五郎はそう思った。ニンゲンが勝手に滅亡した世界では、穏やかな日々が続いていたのであった。
ファンタジー
公開:19/11/02 11:45
更新:19/11/26 19:28
149 オオカミの自信作

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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