無人

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無人駅のホームに無人特急が滑り込むと、合成音声の7ヶ国語同時アナウンスが列車の到着を告げた。列車から降りた客は俺一人だった。もしかすると乗客も俺一人だったのかもしれない。
無人改札を抜けて無人タクシーに乗り込み無人ホテルに到着すると、無人のカウンターでチェックインを済ませた。
最上階の無人バーから見える無人都市の無人の風景に沈んでゆく夕日はなかなかの眺めだった。無人の街に灯がともり始めた。その考えようによっては奇妙な光景を眺めながら、明日からの仕事の段取りを考えた。
俺は探偵だ。
無人の街で人を探すのを生業としている。
なかなかタフなビジネスではある。
SF
公開:19/11/02 09:45
更新:19/11/03 07:27
シリーズ人間

尋亀( ネオトキオ )

巣々木尋亀(すずきひろき)と申します。

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