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冷え込む明け方。猫が布団にやってきたので、僕は身体を横向きにして猫を迎え入れた。猫はしずしずと布団の中に入ってきて、いつもなら僕のお腹の前で丸くなるのだが、今朝はそのまま足先の方へ歩いていって、とうとうつま先の向こうまで行ってしまった。足先から冷気が入ってくることはなかったので、布団から出てはいないらしい。だが、布団はそんなに長くはない……
足先でまさぐったが猫には触れなかった。僕は猫を探しに、頭から布団のなかに潜っていった。自分の胸、腹、脛の前をズルズルと通過し、つま先を廻り込んでふくらはぎ、尻まできたところに、とても狭い分かれ道をみつけた。おそらく猫はここに迷い込んだのだ。
僕はその狭い入口に頭をねじ込んで、息苦しさに耐えながら先へ進んだ。だが猫の気配はない。
長くぐねぐねした湿った道を抜けると布団の中に出た。そこに猫が丸くなって寝ていた。
僕は安心して、二度寝してしまった。
足先でまさぐったが猫には触れなかった。僕は猫を探しに、頭から布団のなかに潜っていった。自分の胸、腹、脛の前をズルズルと通過し、つま先を廻り込んでふくらはぎ、尻まできたところに、とても狭い分かれ道をみつけた。おそらく猫はここに迷い込んだのだ。
僕はその狭い入口に頭をねじ込んで、息苦しさに耐えながら先へ進んだ。だが猫の気配はない。
長くぐねぐねした湿った道を抜けると布団の中に出た。そこに猫が丸くなって寝ていた。
僕は安心して、二度寝してしまった。
ホラー
公開:19/10/31 09:53
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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