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目の前で、真っ白に消されたブランシュ。
写真立てを伏せて、怪盗ラパンは偉そうに腕を組んだ。
「君が泣いてる元凶、ウサギのブランシュ、確かに頂戴しました」
「返して!返してよ!!」
私の一番の友達。大好きだったのに。先月、病気で死んじゃった。
「そうやって、ぐじぐじ泣いて引き篭もって。ご飯も食べず学校も行かず、君まで死ぬ気?君だって自分で解ってるくせに」
解らない。解りたくない。ラパンの胸をげんこつで叩いて、何回も叫んだ。
「そんなにブランシュに会いたい?」
窓が開いた。吹き込む風が冷たい。
「なら飛び降りなよ。この高さだ、あっという間」
腕が背中を押した。
「……いやっ!!」
「ほら、ちゃんと解ってる」
ごう――っと風が巻いて。カーテンが顔にかぶって。
窓は閉まってて、ブランシュは写真立てで裏返しになってて。
ラパンの代わりに、ブランシュによく似た白い仔ウサギが、鼻をひくひくさせてた。
写真立てを伏せて、怪盗ラパンは偉そうに腕を組んだ。
「君が泣いてる元凶、ウサギのブランシュ、確かに頂戴しました」
「返して!返してよ!!」
私の一番の友達。大好きだったのに。先月、病気で死んじゃった。
「そうやって、ぐじぐじ泣いて引き篭もって。ご飯も食べず学校も行かず、君まで死ぬ気?君だって自分で解ってるくせに」
解らない。解りたくない。ラパンの胸をげんこつで叩いて、何回も叫んだ。
「そんなにブランシュに会いたい?」
窓が開いた。吹き込む風が冷たい。
「なら飛び降りなよ。この高さだ、あっという間」
腕が背中を押した。
「……いやっ!!」
「ほら、ちゃんと解ってる」
ごう――っと風が巻いて。カーテンが顔にかぶって。
窓は閉まってて、ブランシュは写真立てで裏返しになってて。
ラパンの代わりに、ブランシュによく似た白い仔ウサギが、鼻をひくひくさせてた。
ファンタジー
公開:19/10/31 01:02
更新:19/10/31 01:03
更新:19/10/31 01:03
怪盗ラパン
アリスと白ウサギ
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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