ある村の慣習
1
6
「あれはなんですか?」
男は指差し尋ねた。
「外の人が見ると驚くでしょうね。
この村にはたくさんの田んぼがあって、毎年豊富なお米がとれるんです。
ただ、私たち村人は一切田植えをすることはありません。
勝手に稲が育つんです。
村では神がそうしてくれていると言い伝えられています。
それ自体はとてもありがたいことなんですがね。
刈る作業は我々人間の役目となっていて、毎年一人の村人が選ばれるんです。
選ばれることは名誉なことなので、ほとんどの村人は自ら立候補しその権利を得ようとします」
「ちょっと待って下さい。一人で村中の田んぼを刈るんですか?」
「はい、しかも手作業でね。
屈強な男ならまだしも、女子供が選ばれれば確実に死んでしまいます。
皆盲信しきっているんですよ。
昔の私もそうでした」
二人の視線の先には満身創痍の女性が鎌を動かしている。
「あれは私の娘なんです。親になるとやはり……」
男は指差し尋ねた。
「外の人が見ると驚くでしょうね。
この村にはたくさんの田んぼがあって、毎年豊富なお米がとれるんです。
ただ、私たち村人は一切田植えをすることはありません。
勝手に稲が育つんです。
村では神がそうしてくれていると言い伝えられています。
それ自体はとてもありがたいことなんですがね。
刈る作業は我々人間の役目となっていて、毎年一人の村人が選ばれるんです。
選ばれることは名誉なことなので、ほとんどの村人は自ら立候補しその権利を得ようとします」
「ちょっと待って下さい。一人で村中の田んぼを刈るんですか?」
「はい、しかも手作業でね。
屈強な男ならまだしも、女子供が選ばれれば確実に死んでしまいます。
皆盲信しきっているんですよ。
昔の私もそうでした」
二人の視線の先には満身創痍の女性が鎌を動かしている。
「あれは私の娘なんです。親になるとやはり……」
その他
公開:19/10/30 18:26
スクー
稲刈り交渉権
ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。
ログインするとコメントを投稿できます