しぶやんばるくいな、飛ぶ!
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どこかで……?
ハチ公前。目の前で夢中に路面をつつく赤い嘴の鳥を思い出せなかった。歩道は壊され、地面はむき出しになっていた。
「あれ、12時。待ち合わせは7時のはずだけど」
彼女に電話をかけた。
『おかけになった番号は現在……』
「そっかー」
僕は心の傷を抉るため、恋愛映画を借りようとTSUTAYAに向かった。
「え」
交差点は崩落していた。横断歩道は吊り橋となり、底無しの足元の闇から轟音が響いた。
恐る恐る吊り橋を歩くと真下から風が吹いた。
「やば!」
落ちそうになり、目の前を飛ぶ鳥の足を掴んだ。
「ケー!」
驚いた鳥は僕を持ち上げ空を飛んだ。
吊り橋の上を飛び、QFRONTの窓にぶつかった。必死に窓にしがみつき、やんばるくいなは夜空に消えていった。
僕は安堵した。渋谷なら、やんばるくいなも飛べるんだ。じゃあ、彼女だってきっと来るさ。
僕はもう一度、ハチ公前で彼女を待つことにした。
ハチ公前。目の前で夢中に路面をつつく赤い嘴の鳥を思い出せなかった。歩道は壊され、地面はむき出しになっていた。
「あれ、12時。待ち合わせは7時のはずだけど」
彼女に電話をかけた。
『おかけになった番号は現在……』
「そっかー」
僕は心の傷を抉るため、恋愛映画を借りようとTSUTAYAに向かった。
「え」
交差点は崩落していた。横断歩道は吊り橋となり、底無しの足元の闇から轟音が響いた。
恐る恐る吊り橋を歩くと真下から風が吹いた。
「やば!」
落ちそうになり、目の前を飛ぶ鳥の足を掴んだ。
「ケー!」
驚いた鳥は僕を持ち上げ空を飛んだ。
吊り橋の上を飛び、QFRONTの窓にぶつかった。必死に窓にしがみつき、やんばるくいなは夜空に消えていった。
僕は安堵した。渋谷なら、やんばるくいなも飛べるんだ。じゃあ、彼女だってきっと来るさ。
僕はもう一度、ハチ公前で彼女を待つことにした。
その他
公開:19/10/30 17:27
更新:19/10/31 08:47
更新:19/10/31 08:47
渋谷
マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。
100 サクラ
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