ニッポンハロウィンナイト

ハロウィンで盛り上がる街中を奇妙な集団が練り歩く。
一つ目小僧。唐傘。ろくろ首。見上げれば一反木綿。天を突く大入道に地を走るすねこすり。
日本妖怪集団。その異様さに人々は目をむくも、今夜がハロウィンという事で「出来の良い仮装集団だろう」と誰もが口にした。
人々は集団にカメラを向ける。
＃百鬼夜行なう
その言葉は日本中を駆け巡り、妖怪集団は一躍時の人となった。
話しかけても返事を返さない集団に人々は早々に飽き、各々のハロウィンを楽しんだ。

集団が向かったのは墓地だ。誰もいない、静まり返った墓地の、一つの墓石の前で皆が手を合わせる。
「水木先生、今年もハロウィンを利用してお墓参りに来ました」
誰もがハロウィンの仮装と思っていたその集団。実は本物の妖怪達である。
妖怪達はハロウィンを利用し、毎年墓参りに訪れる。
人の心に恐れがある限り妖怪は生き続ける。
妖怪達は来年もまた、ここを訪れるだろう。