怪盗の快答

俺の隣人は変人だ。
元は高校の友達だが、とにかくやたら『事件』を起こす。
「おい卯野。こないだの駅の騒ぎ、何なんだ？募金箱から、ウサギが出た様に見えたぞ」
「ダンボール箱で震えてた。募金のガキは嫌々だったし、受験生が風邪ひくと、薬代や色々高くつくし。一応、目標金額行ったはずで、ウサギは新しい飼い主の所。丸く収まったから気にすんな」
……これだ。説明されても納得出来ない。
「だから、どうしてそう奇跡の連続なんだ。お前はエスパーか」
「明らかに読めるだろ。まったくどいつもこいつも、考えれば解る事を、目の前でぐだぐだ悩みやがって……あ、コンビニ強盗」
「え、どこ！？」
「あのおっさん。ポケットにモデルガン。あ～あ、下手すりゃ死ぬな」
手元のカードに文字を書き付け、立ち話を切り上げた卯野は、飄々と件のコンビニへ歩いて行った。
どうせ立件不可能だ。取り掛けた車載無線を戻し、俺もパトカーを走らせた。