8
6
(渋谷さんだ!)
地下へと向かうエスカレーターの上で、辰樹はドキリとした。地上階へと向かう対面のエスカレーターに乗って、こちらに向かってくる女性。間違いなく渋谷さんだ。髪を結ぶ赤いリボンもあの頃と同じだ。
彼女は辰樹の行きつけのカフェの店員で、渋谷という名はエプロンの名札を見て知った。その清楚な姿に辰樹は好意を持ち、告白の機会をうかがっていたのだが、声をかける前に彼女は店を辞めてしまったのだ。
「しぶやさん!」
エスカレーターのすれ違いざまに、辰樹は思い切って彼女の名を呼んだ。しかし彼女は辰樹の方を振り向くことなく、地上階へと行ってしまった。
地上階に着いた時に、彼女のバッグの中で着信音が鳴った。スマホを手に取り通話ボタンを押して、彼女は言った。
「もしもし、しぶたにです」
地下へと向かうエスカレーターの上で、辰樹はドキリとした。地上階へと向かう対面のエスカレーターに乗って、こちらに向かってくる女性。間違いなく渋谷さんだ。髪を結ぶ赤いリボンもあの頃と同じだ。
彼女は辰樹の行きつけのカフェの店員で、渋谷という名はエプロンの名札を見て知った。その清楚な姿に辰樹は好意を持ち、告白の機会をうかがっていたのだが、声をかける前に彼女は店を辞めてしまったのだ。
「しぶやさん!」
エスカレーターのすれ違いざまに、辰樹は思い切って彼女の名を呼んだ。しかし彼女は辰樹の方を振り向くことなく、地上階へと行ってしまった。
地上階に着いた時に、彼女のバッグの中で着信音が鳴った。スマホを手に取り通話ボタンを押して、彼女は言った。
「もしもし、しぶたにです」
その他
公開:19/10/29 17:34
更新:19/10/31 14:03
更新:19/10/31 14:03
渋谷 名
キレのいいアイデアでストンと落ちる、そんなショートショートを書きたいです。
感想、批評など遠慮なくコメントください。
ログインするとコメントを投稿できます