赤い羽根が空を飛ぶ

かったるい……。
こんなもん、この時期にやるな。募金箱抱えて作り笑い、駅前で凍える放課後。
サークル活動だから仕方ない。ま、内申点は上乗せだし？動機が不純でも、金は金だろ。色々並べたとこで、いい加減帰りたいが筆頭に来る。何が楽しくて、寒風＆閑古鳥の平日夕方、２時間も立ってなきゃならない。
あ～もうヤダ。こんな羽、全部どっか飛んでっちまえ！
『じゃあ飛ばしてやる』

……箱が喋った！？
ぎょっと窺う募金箱が、ぴょんと跳ねてブレイク。中からウサギが跳び出し、机の羽山にキック！
数百枚の赤い羽根が、青空に舞った。
おぉ壮観。とか思ってる場合か！
路上に散らばる羽を追っ掛ける。逃げる逃げる逃げる……
「あの、どうぞ」
「兄ちゃん、ほれ」
「ったく、ドジだなぁ」
道行く人々が、見かねて拾ってくれた。
ついでに結構な額が集まった。

ラパンはフランス語で『ウサギ』らしい。説教がてら顧問が教えてくれた。