作者の特権

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 私は連載していた作品を完結させるため、最後に『おわり』の三文字を入力する。
 その瞬間、物語の幕は閉じ、世界は完全な姿となる。
 連載作品というのは不思議だ。ある日突然、プロットから離れて一人でに動き出す。そしてその姿に作者自身が魅了される。私は物語の語り手であると同時に最初のファンなのだ。

 そんな私の作品に読者からのコメントが届く。
『これまで楽しく読ませていただきました。とても面白かったです。』
「面白かった」「楽しかった」月並みな表現ではあるが、作者である私にとってこれ以上に嬉しい言葉はない。私は幸福感に包まれながらパソコンを閉じる。

世界から切り離された一人きりの空間で私はノートを開く。
連載当初からお世話になったアイデアノート。
それに綴るは完結した物語のエピローグ。

ああ、これぞ作者だけに許された特権。

誰も知らない物語の続き。
私だけが知ることのできる本当の結末。
その他
公開:19/10/30 14:25
更新:19/10/30 14:34

はつみ

現実世界の2次創作
誰かに教えたくなるような物語を書きたいです

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