高速のサイレン

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「おまえ、サイレンって知ってるか?」

厚木を過ぎた辺りで、伯父は得意げな顔で私に問いかけた。

「怖いゲーム?」
「違う違う。海の怪物だよ」
「へえ、初めて聞いた」
どんなモノなのか全く想像がつかなかったが、手に持っていたスマートフォンに問いかけてみると、街でよく見かけるあのロゴが現れた。

「ああ、あのよくあるコーヒー屋さんのマークがそうなんだ」
「そうそう。あれだよ」
「これが何?」
私がそう問いかけると、伯父は神妙な顔をして、こう話した。

「高速道路にはな、そのサイレンってのがいるらしいんだよ。だから、みんな走ってると眠くなるんだとさ。気を付けないと、サイレンにやられる」

馬鹿な話に聞こえたが、伯父は何かに怯えているようだった。私は少し怖くなり、伯父から目を背け、サイドミラーを一瞥した。

よく見ると、黒い何かが迫ってきている。私は息を呑んだ。

そして、サイレンが鳴り響いた。
その他
公開:19/10/30 21:00

湯浅ムネミツ( 茨城県 )

スポンジになりたい社会人です。

なんでも吸収し、自分のものにしていきます。

衝撃を与えられても、壊れず、強く生きていき
ます。

皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

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