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時はいつだって流れ続ける。
皺々になった手を眺め、彼女は独りごちた。
「昔は私もブイブイいわせたものだけれど」
ブイブイ、という言葉ももう古い。

今日は昔馴染みに会うために何十年ぶりに渋谷に向かっていた。電車に乗るのも久しぶり。年老いて田舎に引きこもってからは、もうずっとテレビも見ず人とも会わない日々だ。

やがて渋谷に着いた彼女は目を丸くした。
「一体これはどういうこと?」

道行く人々の格好は、昔彼女が来ていたあの頃の服装。懐かしい、しかし古めかしい服。もっと古い世代の服の人もいる。

やってきた友人に彼女は寂しげに言った。
「渋谷は最早、流行の最先端ではないのね」

すると友人は不思議そうな顔をする。
「今も昔も渋谷は最先端よ。その証拠にほら、タイムトラベルステーションになった今じゃ色んな時代の人達がいるじゃない」

タイムトラベル。
どうやら渋谷は想像以上に先を行っていたらしい。
SF
公開:19/10/29 21:00

持田瀞(とろもち)( THE EARTH )

持田瀞(とろもち)です。
小説描くのが好きです。
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