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次第に体の冷えてくるのを感じながら夕暮れを歩いていると、視界に小さな空き地が開けて、その奥からギラリとした白い光がナナメに放たれていました。その見たことのないナナメ具合に、私はその発生源を探さずにはいられませんでした。
それは靴の踵でグイと抉ったような泥の窪みでした。そこに雨が溜まっているのです。端っこには一匹のあめんぼうが、窪みの幅いっぱいに足を広げていました。あめんぼうは狭い溝の端で方向転換するゆとりもなく、そこから動けなくなっているのです。
そこでまず私は、つま先でナナメの中央で交差する逆ナナメを描いて×を作り、さらにその上下をグリグリとつないで砂時計の形にしてあげました。
そうです。私はこれから、友人が手に入れた「三十分が測れる砂時計」を見せてもらいに行くところだったのです。
私は空き地を出て、靴のつま先が泥で汚れているのを恥ずかしく思いながら、寒い夜道を急いだのでした。
それは靴の踵でグイと抉ったような泥の窪みでした。そこに雨が溜まっているのです。端っこには一匹のあめんぼうが、窪みの幅いっぱいに足を広げていました。あめんぼうは狭い溝の端で方向転換するゆとりもなく、そこから動けなくなっているのです。
そこでまず私は、つま先でナナメの中央で交差する逆ナナメを描いて×を作り、さらにその上下をグリグリとつないで砂時計の形にしてあげました。
そうです。私はこれから、友人が手に入れた「三十分が測れる砂時計」を見せてもらいに行くところだったのです。
私は空き地を出て、靴のつま先が泥で汚れているのを恥ずかしく思いながら、寒い夜道を急いだのでした。
その他
公開:19/10/29 19:41
宇祖田都子の話
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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