12時01分のシンデレラ

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午後11時59分発、シンデレラ急行ターミナル。
プリンセスブルーの階段を、スーツケース担いで駆け上る。昔こんな歌があったかも。でもこれは大人の階段でも玉の輿でもなくて、単なる逃避行。
マリッジブルーの末、届いたドレスも花婿も置き去り。プロポーズされて舞い上がってOKして、準備が進んで我に返った。彼の奥さんやってく自信も覚悟もなくて、そもそも彼の何を知ってて、どこが好きかも判らない。正直、好きかどうかすら判らない。ただ色々変わり過ぎて、どうしたら良いのか――

「お待ちなさい、お嬢さん」
踊り場の、からくり時計の横に人影。
「すみません急ぎます」
「迷ってるんでしょう。本当に良いの?」
「どいて下さ……」
「落としましたよ、切符」
指された先、階段の一番下に白い紙。
慌てて駆け下りたところで、発車ベル。
『今夜は時間泥棒~怪盗ラパン』そんなカードを拾う前に、息せき切った彼に抱きすくめられた。
ファンタジー
公開:19/10/29 19:41
怪盗ラパン

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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