ある友人の話
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二年前の寒い日でした。学生時代からの友人である斉藤という男が交通事故に巻き込まれたと共通の知人から連絡がありました。
既に意識が無いと聞き、急いで車で病院に向かいましたが渋滞が激しい上、すべての信号で一度停止したような気がします。イライラとした気持ちを落ち着けようと大きく息を吸い込んだ瞬間にルームミラー越しの後部座席に斉藤が座っているのが見えました。
「斉藤、大丈夫か?」
私は斉藤に声を掛けました。何故だか今考えても不思議ですが、そこに斉藤がいることに全くの違和感を抱きませんでした。
斉藤はミラー越しに私を見つめ言いました。
「いろいろ世話になったな」
「何にもしてないよ、俺は」
再度ミラーを見た時にはもう斉藤はいませんでした。
あの日のあの瞬間が私の生き方が変わった節目だったのでしょう。
今は昨年生まれた我が子を見る度、この子のために一生懸命に生きようとただ思うだけです。
既に意識が無いと聞き、急いで車で病院に向かいましたが渋滞が激しい上、すべての信号で一度停止したような気がします。イライラとした気持ちを落ち着けようと大きく息を吸い込んだ瞬間にルームミラー越しの後部座席に斉藤が座っているのが見えました。
「斉藤、大丈夫か?」
私は斉藤に声を掛けました。何故だか今考えても不思議ですが、そこに斉藤がいることに全くの違和感を抱きませんでした。
斉藤はミラー越しに私を見つめ言いました。
「いろいろ世話になったな」
「何にもしてないよ、俺は」
再度ミラーを見た時にはもう斉藤はいませんでした。
あの日のあの瞬間が私の生き方が変わった節目だったのでしょう。
今は昨年生まれた我が子を見る度、この子のために一生懸命に生きようとただ思うだけです。
その他
公開:19/10/28 00:49
更新:19/11/04 10:33
更新:19/11/04 10:33
友人 節目
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