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子どもの頃から住む「家」は十年ごとに節目がある。
家から左に出て少し歩くと十年前、右に歩くと十年後の節目にぶつかる。

過去はともかく未来は絶えず変化するはずなのに、十年、または二十年後の私がすでに確定してるっておかしな話よね。いや、そもそも時間は線なんかじゃなく、こんな風に面になっているのかも知れないけど。ああ、重い。
そんなことをつらつら考えながら歩いて行くと、私の家とそっくりの家から、私より十年老いた私が出てきた。
「やあ元気?」
と、私は十年後の私に話しかけた。
「なんだ、また来たの」
「うん、でも今日はお別れを言いに来たのよ」
「⋯⋯」
あたしは手に持ったツルハシを高々と振り上げ、時間の節目に振り下ろした。
「あっ!」
パキパキと音を立て、すべての節目はばらばらになって消えた。

そして私は未来を変えるべく、その「家」を引っ越すことにした。
過去と未来の私たちよ、サヨウナラ──。
SF
公開:19/10/28 13:24

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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