異国の坂道

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「こんな道あったかな?」
男がふらふらと街を歩いていると、見慣れない通りが目に入った。
田舎の夜の街灯のようにポツンと浮かび上がっていた。
ゆるい坂になっている道の両端には、異国を感じさせる雑貨屋や飲食店が立ち並んでいる。
男がその通りに一歩足を踏み入れると、違和感を感じた。
建物が明らかに外国の造りで、その中にいる人は全て白人だったのだ。
ここだけが外国と交わっているようだった。
男が驚き立ち尽くしていると、後ろから声をかけられた。
振り返ると、やはり白人。
話しているのは耳慣れない言語だったが、男は構わず英語で尋ねた。
「where is this?」
白人は怪訝そうな顔で
「this is Spain」
と答えると、霧のように消えた。
周りを見ると、先ほどの外国はもうなかった。
この出来事は男に大きな衝撃を与えた。
のちに男はその坂道に異国情緒溢れる街を作り、スペイン坂と名付けた。
その他
公開:19/10/25 22:29

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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