あの時の音色

2
5

夜中、喉の渇きを覚えて台所に向かう。
しんと静まり返った台所、突如やかんがピーッ!と鳴った。
何だ何だ?幽霊の仕業か?
私は恐る恐るやかんに手を伸ばす。大丈夫。熱くない。異変もない。
さっきのは夢?どうやら私は寝ぼけているようだ。お茶を飲んで早く寝るとしよう。
ん?やかんからお茶が出ない。中からはちゃぷちゃぷと音もするし、詰まっているにしても全く出ないのはおかしい。
私はやかんの蓋を開けた。
すると中から蛍の光が流れてきた。私はまだ夢を見ているのか?
「本日の業務は終了いたしております。このやかんは夜間使用停止となっております。また明朝、改めてご使用下さい」
やかんの中から女性アナウンスの声が聞こえてきた。
ああ、この音はスーパー等で流れる閉店間近のあの音色か。
それを理解したところで私は蛇口をひねり水を飲むと寝ることにした。
どうやら私は相当疲れているようだ。週末はゆっくり休もう。
公開:19/10/25 18:14

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容