発明品の利用方法

　ちょっと変わった機械が完成した。

　指定したの空間のみ温度と湿度を完璧に調整できるものだった。
　この装置のすごいところは、仕切りを必要としないところである。まるで空間を切り取ったかのように変えることができるのだ。

　彼はいろいろな企業に売り込みを開始した。この装置がいかに素晴らしいのか説明して回るけれども、どの企業も首を縦に振ることはなかった。
　大切な商品や工場を泥棒などに開放しているようなものだということに彼は気づかない。

　売り込んでは失敗したあらゆる企業を恨んだ。
　そしてついに凶行に及んでしまう。
　断りをいれた人たちの家を指定して温度と湿度を人間が住める環境ではない設定にしたのだ。

　翌日、変死体が発見される。
　彼は気づいた。この機械のお金に変える利用法を。
　次の日から、彼は世間から姿を消した。そして裏の世界に生きることとし、莫大なお金を手に入れる──