ある伝承のお話
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深夜の神社の境内でその集会はひっそりと行われていた。
「俺も年だ。そろそろこの技も封印しようと思っている」
寅次郎がぼそっとつぶやいた。
「兄ぃ、まだまだ老け込むには早いですぜ。これからも俺たちを守ってくだせえ。」
「そうです、だんな。この界隈もようやく収まってきたところで、急に何を。」
満月に照らされて一同が口々に異を唱える。
「いやあ、俺もな、動かしたくても思い通りに動かねえのよ。肘の辺りにできたしこりがデカくなってきやがった。年貢の納め時ってやつよ。」
「そ、そんなあ。」
「それじゃ、いったい誰が後を」
「あっしらはどうなるんですかい?」
そんな彼らを見渡して寅次郎はこう言った。
「俺の秘技、右前足の“猫キック”は、そこの三毛美に伝授してある。心配することはない。俺が見込んだ奴だ。」
三毛美は周りを見回し言った。
「承りました」
新たな伝説の始まりである。
「俺も年だ。そろそろこの技も封印しようと思っている」
寅次郎がぼそっとつぶやいた。
「兄ぃ、まだまだ老け込むには早いですぜ。これからも俺たちを守ってくだせえ。」
「そうです、だんな。この界隈もようやく収まってきたところで、急に何を。」
満月に照らされて一同が口々に異を唱える。
「いやあ、俺もな、動かしたくても思い通りに動かねえのよ。肘の辺りにできたしこりがデカくなってきやがった。年貢の納め時ってやつよ。」
「そ、そんなあ。」
「それじゃ、いったい誰が後を」
「あっしらはどうなるんですかい?」
そんな彼らを見渡して寅次郎はこう言った。
「俺の秘技、右前足の“猫キック”は、そこの三毛美に伝授してある。心配することはない。俺が見込んだ奴だ。」
三毛美は周りを見回し言った。
「承りました」
新たな伝説の始まりである。
ファンタジー
公開:19/10/26 17:25
更新:19/11/15 12:24
更新:19/11/15 12:24
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猫キック
だって猫なんだもん
武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。
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