何節目

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 その村の墓地のそれぞれの墓には、節くれだった菜箸のような竹が立ててあるだけだった。
 今、死んだ老人の弔いの列がこの墓地へ到着した。呪術師が老人の顔を見つめ、家族に何か尋ねている。
「名前。年齢。親の名前などを聞いています」
通訳が私に耳打ちする。私は民俗学の研究のため、この土地の埋葬を見学に来ていた。
 呪術師は、墓に立っているものとよく似た棒を筮竹のように振ると、墓の一つを指差して何か叫んだ。すると村人がその墓を掘り起こし始めた。
「三十二節」と通訳が言う。
 墓は空で、遺体はそこに埋められた。そして、これまで立っていた竹が引き抜かれ、占い師が持っていた竹の一つが墓に立てられた。それには三十二の長短の節目があった。「節目の間隔が生きた長さです」
 弔いの後、私は通訳を介して呪術師に尋ねた。
「誰の生まれ変わりかを知る方法は?」
 呪術師はキセルを吸いながら答えた。
「みりゃ、分かる」
ファンタジー
公開:19/10/26 14:52
更新:19/10/26 21:26
節目

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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