渋谷ゾンビバスターズ

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終電の終わった渋谷。満月の夜。
オオーンというハチ公の遠吠えを合図に、ボコボコとスクランブル交差点が泡立ち、5つの大型ビジョンにザザーッとノイズが走った。
「来るぞ、奴らだ」
俺らはゾンビ・ゴーグルを装着する。渋谷で消費されていった流行たちが墓場から蘇る時間だ。ヤマン婆、ガングロい、チー魔ー、渋谷ゾンビたちが、若者の魂を喰らおうとゾロゾロと109前に集まりだした。キューフロントの大型ビジョンから渋谷系の音楽が流れ出し、時空が歪み始める。
「きゃー何あれー!可愛いー」
「しまった!ギャルが渋谷ゾンビに反応してる!」
その時、道玄坂、スペイン坂からゴロゴロと大量に何かが転がってきた。
「なんだ、黒い球体が」
「タピオカボール!」
巨大化したタピオカボールを拾い、ゾンビに向かって投げた。ゾンビたちは次々にタピオカボールに吸い込まれる。
「ゲットだぜ!」

今日も俺らは新しい遊びを探す、この街で。
その他
公開:19/10/23 21:59
更新:19/12/18 15:12

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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