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シカゴのオヘア空港に着いた時、私のテンションは頂点に達していた。いくら仕事とはいえ、念願のアメリカ、楽しみにしないわけがない。

空港は、車につけている米国製芳香剤と同じ香りがした。ずっと感じていた"外国っぽい香り"というのは間違いなかったようだ。

入国審査を受け、私はインディアナに向かうため、別のターミナルへと移動した。しかし、15時間のフライトによって現れた睡魔と疲弊感は、強烈だ。私は、昂った気持ちでそれらを抑え込んだ。

"何か"あれば、倒れてしまいそうだ。

そう思いながら出発ロビーに到着し、搭乗口の列に並んだ。ふぅ、と一息つき、私は順番を待った。

「アリガトウ」

どうやら、受付員は搭乗者の母国の言葉で送り出してくれるらしい。

私の番になり、受付員にパスポートとチケットを渡した。受付員は確認し、私にそれらを返すと、笑顔でこう言った。

「谢谢」

私はその場に倒れ込んだ。
その他
公開:19/10/23 21:00

湯浅ムネミツ( 茨城県 )

スポンジになりたい社会人です。

なんでも吸収し、自分のものにしていきます。

衝撃を与えられても、壊れず、強く生きていき
ます。

皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

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