シブヤン
14
21
あの頃、シブヤンと僕は“人にぶつからずにどっちが先にスクランブル交差点を渡れるか”なんてゲームを良くしてた。
就職してシブヤンと遊ばなくなって、時々ぼんやり渋谷のライブ映像を見るようになった。
「シブヤンだ!」
シブヤンは交差点の真ん中で立ち止まり、僕が見てるのを知ってるみたいにカメラ目線で手を振った。
僕は家を飛び出した。数年ぶりのスクランブル交差点。歩行者信号が一斉に青になる。こんな人が多くちゃ、大事な人も見つけらんない? 信号が点滅し、赤に変わる。車のクラクションが耳をつんざく。
僕は交差点の真ん中で、無茶苦茶に手を振った。
「ここだよ」
5本の横断歩道が、ギュンと梯子のように空に伸びた。シブヤンがビルの屋上で笑ってる。僕は梯子を登り、二人でキラキラした渋谷の街を見下ろした。
「よくない?これ」
シブヤンが大きく息を吸って、僕も深呼吸。交差点の真ん中で、誰かが僕らに手を振った。
就職してシブヤンと遊ばなくなって、時々ぼんやり渋谷のライブ映像を見るようになった。
「シブヤンだ!」
シブヤンは交差点の真ん中で立ち止まり、僕が見てるのを知ってるみたいにカメラ目線で手を振った。
僕は家を飛び出した。数年ぶりのスクランブル交差点。歩行者信号が一斉に青になる。こんな人が多くちゃ、大事な人も見つけらんない? 信号が点滅し、赤に変わる。車のクラクションが耳をつんざく。
僕は交差点の真ん中で、無茶苦茶に手を振った。
「ここだよ」
5本の横断歩道が、ギュンと梯子のように空に伸びた。シブヤンがビルの屋上で笑ってる。僕は梯子を登り、二人でキラキラした渋谷の街を見下ろした。
「よくない?これ」
シブヤンが大きく息を吸って、僕も深呼吸。交差点の真ん中で、誰かが僕らに手を振った。
その他
公開:19/10/23 17:50
更新:19/11/16 13:54
更新:19/11/16 13:54
人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。
ログインするとコメントを投稿できます