振り袖マジック

10
8

いいお天気に恵まれた。今日は成人式だ。
「ホヅミちゃん、ホント素敵ねえ。うちのヒナにも女子力わけてやってよ」
「ママうるさいよ。ホントその目、節穴よね」
ホヅミが私たちのやりとりを面白そうに見ている。
私とホヅミは幼なじみだ。振り袖も一緒に選びに行った。
「ねえホヅミ、この振り袖『魔法つき』だって店員さんが言ってたね。一つだけ願い事が叶うって本当かな?」
会場に着くとかつての友人達との再会を楽しんだ。ホヅミは可愛いので、男子からも女子からも振り袖似合う!と囲まれていた。

来月、ホヅミは留学で旅立つ。こんな笑顔も簡単には見れなくなる。私はホヅミに抱きついた。
「……好き」
魔法にかかった様に、零れてしまった言葉。今までずっと心に蓋をしてきた。だってホヅミは男の子だし女の子だ。
ホヅミが私を抱きしめる。男の子のかたい胸板の感触。
「僕もだよ、ヒナ」
願い事叶った、とホヅミは嬉しそうに笑った。
恋愛
公開:19/10/25 12:06
更新:19/10/29 22:49
節目

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容