日本列島の謎

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ある地形学者が、日本列島は山折りと谷折りの連なった蛇腹折りで形成され、本来は折りたためるという驚くべき新説を発表した。
急峻な山折りは富士山のように山として残ったが、長い歳月とともに小高い山折りは土が削られて高原となり、深い谷折りは雨水が溜まって湖に変化していったという。
さまざまな経験があり、世の中のことを知り尽くし、悪賢いことを表す「海千山千」という言葉があるが、あれも元々は「谷千山千」だったと主張する言語学者も出てきた。
その根拠が古い地名にも示されており、東京二十三区で世田谷区とともに「谷」が付く渋谷区は、谷折りでできていて、道玄坂や宮益坂などの坂が多いのは山折りの名残だという。
日本列島が天変地異によって沈没する事態になれば、変形して折り鶴となって飛んでいくから大丈夫という地質学者まで登場した。
果たして誰が日本列島を折りたたんだり、折り鶴に変形させるのか、謎は深まるばかりだ。
ミステリー・推理
公開:19/10/25 06:33
更新:19/10/25 12:43
日本列島 山折り 谷折り 蛇腹折り 海千山千 渋谷 道玄坂 宮益坂 天変地異 折り鶴

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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