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全面窓から入る真っ昼間の外の光のせいで、オレンジ色の薄ぼけた照明の暗さが際立つ。腰をかがめ手元に目を凝らす。ランチピーク。戦争のカフェ空間。叫び声のようなオーダーが飛び交い、客たちは席を奪い合い、私はがしゃがしゃと皿を洗っている。

泡をかきわけ、積み上がっていく皿やカップの量を目で数える。それらを頭の中でパズルし、食洗機に効率よく放り込むのだ。私は只今それだけの為に生きている人間である。哀しむ暇もない。

かたん、と返却口にトレイが差し込まれる。音に顔を上げた。食器に視界を邪魔されながら、懐かしいあの人の顔を見た。あの人も、私を見た。

どこに行くんだろう。残された手がかりの、パスタ皿とアイスコーヒーのグラス。コーヒーを飲む人だったっけか。いつの間にか遠くなりすぎた微かな記憶
すらも、しゅっ、とオレンジの香りの泡に洗い流される。

あの人は外の強烈な明るさに、眉をひそめたかもしれない。
青春
公開:19/10/25 01:15
更新:19/10/25 01:27

つゆ

森絵都さんの『ショート・トリップ』が大好きです。

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