記念日のカクテル

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彼女と付き合い始めて一ヶ月の記念日。
彼女は恥ずかしがり屋で思ったことをなかなか言葉にできない。僕が告った時も頬を染め、ただ頷いただけだった。
今日はそんな彼女の為にサプライズを用意した。
『何でも話せるカクテル』その名の通り、普段心に秘めている事も何でも話せてしまう、不思議なお酒。今夜は彼女の口から愛の言葉を聞きたい。
「僕達の一ヶ月に乾杯」
カラン、と氷の透き通った音。
「……実はね、私、今日の為にいろいろ準備してきたんだ」
彼女のとろんとした目。もう効果が出始めたのか。
「あなたが二股かけてるの知らないと思った?大好きなのに、憎くてたまらない……嫌い!嫌いよ!大嫌い!」
あまりの激昂ぶりに僕は茫然とする。
彼女にがっちりと腕を掴まれる。彼女がニヤリと笑って言う。
「このお店は五分後に爆発するわ。一ヶ月記念の私からのサプライズ、受け取って。大好きだよ、あなたからのサプライズはなあに?」
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公開:19/10/24 22:10
更新:19/12/12 15:20

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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