噂の店に行ってみた

7
7

俺は今日、知る人ぞ知る大人の隠れ家って奴に行ってきた。
何でもここは誰も見たことのない貴重な魚料理を出してくれるそうだ。
そいつは是非とも味わってみたい!
曰く、その店の魚は踊り食いが一番ウマい。
曰く、その美しい魚に必ず最初は目を奪われる。
等々…数々の噂を聞かされた俺の期待度は最高潮だ。
店の扉を開けた。噂通り、美しいヒレを持つ魚の舞に俺の目は奪われた。
俺は唾を飲み込み、それの踊り食いを注文した。噂ではそれが一番ウマいからだ。
俺は新鮮な内に、その魚を口に入れた。
凄い!舌触り、歯応え、香り、喉越し。俺の味覚がこれでもかって程に喜んでいる!
大将!こいつは一体、何て魚なんだ!教えてくれ!

「こいつかい?こいつは魚じゃないよ。こいつは『噂』だ。尾びれ背びれがついて魚っぽく見えるだけだよ。あんたも噂を鵜呑みにしたようだな。気をつけなよ。いつか騙されるぞ」

大将の忠告が腹に痛み入った。
公開:19/10/24 18:59

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容